低身長と病気
身長が伸びるしくみ
身長が伸びるためには、骨が成長しなければなりません。 骨の成長にはタンパク質、カルシウム、ビタミンDなどの栄養とともに、体の中で作られる「成長ホルモン」、「甲状腺ホルモン」、「性ホルモン※」の3つのホルモンが重要な役割を担っています。
男の子で11歳、女の子で9歳ぐらいまでの期間では特に成長ホルモンが骨の成長を促しています。
成長を促すには
- 睡眠
- 成長ホルモンは夜間、ぐっすりと熟睡している間に分泌されます。そのため睡眠を十分に取ることが重要です。
- 適度な運動
- 骨は運動などで力がかかるほど成長しますので、適度な運動も成長のためには大切です。
- バランスのとれた食事
- 骨や体の材料となるタンパク質やカルシウムなどの豊富な食べ物をバランスよくとることが大切です。
- ストレスのない愛情に包まれた生活環境
- 保護者からの愛情が得られず精神的ストレスが大きいと脳下垂体から成長ホルモンが分泌されにくくなり、睡眠が阻害されたり、食欲がなくなったりして、愛情遮断性症候群と呼ばれる低身長になります。虐待などの極端な場合でなくても、両親の不仲を子どもが思い悩んだりすることでも起こり得ます。
低身長の原因は?
低身長はさまざまな原因で起こりますが、治療できるものと、治療が難しいものがあります。成長ホルモンや甲状腺ホルモンが不足している場合、あるいは栄養障害や心理的なものは、適切な治療を行うことにより、正常な身長に近づけることができます。
また、心臓などの主要臓器に病気がある場合は、その治療が必要なのはいうまでもありません。低身長の原因を検査することで、裏に隠れている重要な病気が見つかることもありますので、早めに検査することが大切といえます。
多くの低身長は病気とは考えにくいものです。これらの場合、病気ではないのでひとまずは安心ですが、残念ながら自然な成長を見守るのみで治療はできません。 睡眠をよくとる、規則正しいバランスのとれた食生活、そしてお父さんお母さんがスキンシップによって愛情を注ぐ以外に方法はありません。
低身長の主な原因
- 病気とは考えにくいもの
- ・体質的なもの
- ・家族性によるもの
- ・原因不明のもの
- ホルモンの異常
- ・成長ホルモン分泌不全性低身長症(特発性のもの、脳腫瘍などの器質的なもの、遺伝子異常によるもの)
- ・甲状腺機能低下症
- ・思春期早発症に起因する低身長(思春期が早くきすぎた場合、最終身長は低身長になってしまうことがあります。)
- 染色体異常
- ・ターナー症候群
- ・プラダーウイリー症候群
- 小さく生まれたことに関係しているもの
- ・SGA性低身長(生まれたとき在胎週数に比して出生身長や体重が小さく、2歳までに追いつき成長がみられなかったもの。)
- 骨・軟骨の異常
- ・軟骨無形成症、軟骨低形成症
- 主要臓器の病気
- ・心臓、腎臓、肝臓、腸などの病気
- 心理社会的な要因
- ・愛情遮断症候群
- 栄養状態が悪い